2025/10/28
8都市の実務担当者が東京都へ:臨海部の防災対策に関する都内視察を実施
2025年9月25日から26日の2日間、G-NETSワーキンググループ共同プロジェクトの一環として、東京都主催の臨海部の防災対策をテーマとした視察が開催され、世界8都市の実務担当者が参加しました。1日目は東京都港湾局の高潮対策センターや辰巳排水機場を、2日目は東京消防庁が管轄する防災体験施設である本所防災館と臨港消防署などを見学し、視察後には意見交換が行われました。
主な視察先
【2025年9月25日】
・東京都庁
東京都では、『TOKYO強靭化プロジェクト ~「100年先も安心」を目指して〜』にもある通り、激甚化する風水害や首都直下型地震への備えを重要施策に位置付けています。東京都庁において、総務局職員が、防災対策の中の「人々の災害対処能力の強化」に関する施策として、東京都防災Xや東京都防災ホームページの活用についての説明を行いました。また、「あそぶ」「まなぶ」「つかう」をコンセプトとして防災の基礎知識を得ることができ、さらに、防災マップなど災害時にも役立つ情報を配信する「東京都防災アプリ」についても紹介しました。
・高潮対策センター
その後参加者は、運河の水門や陸地の陸こうなど浸水を防ぐ施設の管理を担う東京港建設事務所高潮対策センターへ移動しました。
また、DXの取組として、光ファイバー通信網による遠隔制御における水門の開閉操作や、水位予想におけるAI導入について説明があり、参加者からAI予測に対する人的判断の基準などについて質問があがりました。
・水門及び排水機場
その後、高潮対策センターと同敷地内にある辰巳の水門及び排水機場を視察しました。視察参加者は水門に信号が取り付けられていることや、カメラで船が航行していないことを確認してから閉門するなどの安全策についての説明を聞きました。また、辰巳排水機場では、水門閉鎖後、降雨による水位上昇を抑えるため、運河の水を外部に排出するポンプを見学しました。ポンプ1台で25メートルプールの水が15秒で排水できることや、停電時に備えて自家発電するための設備が整っていることなどが紹介されました。
【2025年9月26日】
・本所都民防災教育センター(通称:本所防災館)
視察参加者は東京消防庁が運営する都民防災教育センターのひとつ、通称・本所防災館で、暴風雨、都市型水害、地震、煙など各災害に関する模擬体験をしました。地震体験では、過去に日本で発生した震災の揺れを体感しました。起震台が揺れ始めると、職員の指導に従って体を丸め、頭を両腕で守る体勢を取り、揺れが収まるのを待ちました。
・臨港消防署
臨港消防署では、海上での火災や人命救助に係る説明が行われ、その後、国内最大級の大型消防艇「みやこどり」に乗船しました。毎分15,000リットル、10,000リットル、5,000リットルを放水できる砲をそれぞれ2基ずつ、計6基を備え毎分60,000リットルもの放水が可能で、一斉に水が噴射されると、参加者からは驚きの声が上がりました。
・意見交換会
視察終了後、東京都庁で参加者による意見交換会が行われました。防災アプリや本所防災館についての肯定的な意見が多く、参加者自身の都市でも導入したいといった声も聞かれました。また、気候変動による風水害や地震による災害が世界各地で起きていることから、これらが都市や地域を超えた共通の課題であることを再確認しました。今回の臨海部の防災施策の視察を通じた知見共有は、G-NETS参加都市間の今後の連携にも役立てられます。
参加都市
オークランド、カタルーニャ、ダバオ、モートンベイ、新北、トロント、ウェリントン、サポパン(アルファベット順)