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2026/02/27

東京都が欧州4都市を訪問:都市の水循環を支えるインフラを視察

東京都が欧州4都市を訪問:都市の水循環を支えるインフラを視察の画像

G-NETS参加都市の実務担当者による共同プロジェクトの一環として、東京都は2025年11月に欧州4都市の水道事業体を訪問しました。フランスのパリ市、ベルギーのブリュッセル市、オランダのハーグ市およびアムステルダム市を巡り、水道事業の運営や水管理をめぐる課題、DX・環境施策を含む先進的な取組について意見交換が行われました。

主な訪問先

【2025年11月25日】

・フランス・パリ市 Eau de Paris(水道事業体)

パリ市が運営する公営水道事業体Eau de Parisでは、パリ市全域に約10万個のスマートメータを設置することで、現地を訪問せずに、より高い頻度で精緻なデータを取得することが可能になっています。また音響センサーを活用して漏水検知なども実施しており、管路管理の省人化・省力化にも取り組んでいます。

フランス・パリ市中心部を流れるセーヌ川

フランス・パリ市中心部を流れるセーヌ川

・パリ市内視察

まず、カルナヴァレ美術館で、19世紀の都市再開発時に整備された水道インフラの歴史を視察しました。次に、Eau de Parisが提携する約1,000店舗のショップやカフェ、レストランなどが無料で蛇口水をボトルに注ぐサービスを提供する環境キャンペーンの様子を見学。このほか、Eau de Parisが管理している飲料水の補給スポット、フォンテーヌを視察しました。

Eau de Parisが管理するフォンテーヌは市内約1,200カ所。うち17カ所では炭酸水も提供

Eau de Parisが管理するフォンテーヌは市内約1,200カ所。うち17カ所では炭酸水も提供

【2025年11月26日】

・パリ市清掃・水管理局(下水道博物館) 

パリ市では、飲料水・非飲料水を含むすべての水道管が下水道管きょ内に布設されており、漏水の発見や補修が容易な体制が整えられています。また、雨水の下水への流入を抑制するとともに、非飲料水ネットワークを活用し、街路清掃などに利用することで、飲料水の使用量削減を図っています。

下水道博物館では歴史、装置の展示のほか、職員の装備や親子3代にわたって下水道維持管理に携わる家族を紹介

下水道博物館では歴史、装置の展示のほか、職員の装備や親子3代にわたって下水道維持管理に携わる家族を紹介

【2025年11月27日】

・ベルギー・ブリュッセル市 VIVAQUA Tailfer浄水場

ブリュッセル市では、上下水道事業体であるVIVAQUAが、約250万人の住民および産業向けに、取水・浄水から配水、下水の収集までを一体的に担っています。 ベルギーは時間帯により電気料金が異なるため、 Tailfer浄水場では、 水量とポンプの稼働時間をAIで管理し、エネルギー効率を最適化したポンプ運転が行われています。また、バイオマス発電や太陽光発電による再生可能エネルギーを、浄水場で活用しています。

・ブリュッセル市 カンブルの森の給水塔

19世紀に建設され、かつては森の地下にある帯水層から水を汲み上げ、市南部の地区に供給していた給水塔を視察しました。現在は給水施設としての役割を終え、オフィスとして再利用されています。

現在は左の塔がオフィスとして再利用されている、カンブルの森に位置する給水塔

現在は左の塔がオフィスとして再利用されている、カンブルの森に位置する給水塔

【2025年11月28日】

・オランダ・ハーグ市オランダ水道協会

ハーグ市ではオランダ水道協会を訪問し、同国における水道事業の現状や課題について意見交換が行われました。なかでも有機フッ素化合物のPFASによる水源汚染はオランダでも問題となっており、欧州全体での規制や対策が必要になっていることが共有されました。

・オランダ・アムステルダム市Waternet(上下水道事業体)

Waternetは河川で堆積した砂丘を利用した浄水方式を採用しており、活性炭ろ過なども組み合わせながら、砂の中の微生物の働きを活かした、塩素消毒を必要としない浄水処理を行っています。また、AIによる設備の予測保全や、風力発電を活用した電力供給など、DX・環境施策にも力を入れています。

市名の由来となった川としても知られるアムステル川

市名の由来となった川としても知られるアムステル川

意見交換では、東京都の漏水防止対策に高い関心が寄せられました

意見交換では、東京都の漏水防止対策に高い関心が寄せられました

今回の欧州訪問を通じ、各都市が自然条件や制度の違いを踏まえながら、DX、環境配慮、市民との関係構築を軸に水道事業の持続可能性を高め、気候変動や非常時に備えたレジリエンスの強化に取り組んでいることが明らかになりました。 こうした知見は、今後の東京都の政策検討やG-NETSに参加する都市間の知見共有に活かされます。

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